高専数学まとめノート@はてなブログ

解法のエッセンス。数学のトピックス。

計画倒れになるメカニズム 達成されない計画の誕生

『試験前あるある』を無くそう!

試験2週間ぐらい前に決めた行動目標と、実際に試験期間にした行動にえらく差が出てしまう事ってありませんか?例えば、昨日は『明日はあれもやろう』と思っていた試験前の日曜日。気付いたら、夜に明日提出の課題をやっただけ・・・とかね。

勉強に限らずあるあるかもですね。「計画したとおりにいかない」というのは。

ただ、学生時代の試験期間という予めスケジュールされた繁忙期に対して、毎回計画を守れずにギリギリ対処になっているのならさすがにもったいない!どうせなら、計画の立て方やサボってしまう自分をしっかりと観察して、よりよく計画を立てられるスキルを身につける機会にして欲しいところです。

上手くいかない計画が生まれた心理的な原因を探ろう。

じゃあ、なんであのキラキラとした計画達はうまくいかなかったんでしょうか。今回も、「The Willpower Instinct」(意志力の本能:邦題・スタンフォードの自分を変える教室)の一節から考えてみようと思います。

著者は、『学生に醤油とケチャップを混ぜた液体をどれぐらい飲めるかを尋ねる。数分後に飲むという前置きがあるとスプーン2杯、次の学期に飲むという前置きがあると半カップ飲めると答えた。』という(コアな醤油ファンなら激怒しそうな)心理学実験の結果を挙げながら、こう述べています。

私たちは現在の自分の事はストレスの多い状況から救おうとするのに、未来の自分に対してはまるで他人のように重荷を押し付けることが分かりました。
スタンフォードの自分を変える教室 P258より抜粋)

スタンフォードの自分を変える教室

スタンフォードの自分を変える教室

なるほど、だからか。

自分が実行することをリアルに考えていない計画が、未来の自分を苦しめるということみたい。その点を検討してないと、それは結局、自分には実行できないほどしんどいものになっちゃうわけだ。そして、その計画は、余りにも(その”未来”がやってきた時点での)自分にとっては重荷となっているために、実行できない。しかし、そうしちゃったのは自分。

こうやって実行できなかった課題を次へ次へと送っていって、どうにもならなくなり、『もうどうにでもなれ・・・』と、キラキラした計画たちはその道半ばでぽいっと捨てられちゃってきたわけだ。

別にあなたは悪くない。

この過程の結果、計画を守れない自分を嫌いになっちゃったりもするのかもしれない。最悪、『どうせ計画なんて立ててもw自分は計画を守れない人だからw』的な、諦めにもつながりそうだ・・・。そうなったら、あまりにももったいない。

計画を守れない自分を嫌いにならなくていいのです。そういう計画をうっかりと組んでしまう特性が、我々の脳(心)にはあるのです。そして、なんといっても、あなたは今、その学生生活において、『自分で計画を立ててそれを自分で実行する』という事を試行錯誤して学んでいる最中なんですよ・・・!

ここで、学生を対象にして行われた実験の結果も紹介しておこうかな。

ある実験では、37人の学生に対し、卒業論文の執筆に何日間かかるかという質問をした。(略)「何もかもうまくいかなかった場合」の見積もりは、平均で48.6日だった。ところが実際、かかった平均時間は55.5日と、最悪の場合の見積もりを超えていた。(略)見積もりが甘すぎる傾向があることはみんな認めるのだが、それでも目の前の仕事を見積もる段になると甘すぎる見積もりをしてしまう。
(エッセンシャル思考 P228より一部中略にて抜粋)

エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

とにかくあなただけのことじゃなくて、みんなが最初は経験することなんだと知っておこう。繰り返しになりますが、あなたは計画の立て方を身に付けている途中。あなたがあなた自身を嫌いになる必要はありません。

計画の立て方を知ろう。

じゃあ、計画を守る、というか、実行可能な計画を組むにはどこに注意すればいいんだろう。それを考えるために、なんでどんどんいろんなことが先送りになっちゃったのか知っておこう。「The Willpower Instinct」では、1つの学生実験の結果*1を示して、我々の心についてこう評しています。

未来の自分に期待していたことは、さらにその先の自分へと先送りされます。まるで、現在のなさけない自分を救ってくれている神様のような存在が、土壇場になればひょっこり現れてくれるとでも思っているかのようです。
スタンフォードの自分を変える教室 P260より抜粋)

どうも根本は、未来の自分を神様扱いしてしまう、という脳(心)の特性にありそうですね。

『達成されない計画の発生』の根本まとめ

では、この記事の気付きをまとめておこう。

  1. 私たちの脳(心)は、未来の自分を他人のように扱う
  2. 私たちの脳(心)は、今のストレスから逃げるため、未来の自分に平気で重荷を課す

これらの脳(心)の特性を、勉強計画を立てる前に知って置いた方が良さそうだ。

補記:SNSで宣言されたままの目標

 あなたはTwitterFacebookなどなどでふと発信した計画(目標)を達成していますか。ログを読み返して、達成されなかった計画を直視しておいた方が良いかもしれませんね。何度も同じようなことを反省し、決意し、計画を発表していませんか?
(かく言う私にも思い当たる節があります…!)
 ある実験の報告によると、行動計画を、名前を公表しない状態で作成させるだけで、その計画が適切である度合いが高まった*2のだとか。すなわち、見られているだけで、無茶な計画を建てがちになってしまうという事。私たちは、潜在的に、『よく見られたい』という願望を持っているようです。
 SNSは『見られる』機会を容易に手にすることができる道具です。それによって、本来は外部に向かって発信するほどではないちょっとした”思い”さえも、文字を使って”決意”にして、”目標”化してしまいがちです。そして、その目標は潜在的な『よく見せたい』願望にまみれてしまいがちなようです。自分の中に潜む『よく見せたい願望』をしっかりと観察しましょう。
 見かけの良い目標を発信して安心するのは、もう止めにしよう。

記事で触れた本

「The Willpower Instinct」はこれまで抽象論や根性論で語られてきた”意志”を科学をベースに解説し、今から行動・意志を変えたい人のための気付きが詰まった一冊です。おすすめですよ!

スタンフォードの自分を変える教室

スタンフォードの自分を変える教室

*1:今は目の前の少額の報酬に飛びついてしまう人も、『報酬を冷静に予測する能力が未来の自分には備わるだろう』と期待している、という傾向が観察された実験

*2:『ある作業について、名前を明かすよりも、匿名で所要時間を検討した方が、実際にかかった時間と計画で必要と見込んだ時間のズレを小さくできた』とのこと。ちなみに、名前を公表した場合は作業時間を短く(つまり、未来の自分をより良く)見積もってしまいやすいようです。